1. トップ
  2. 外来について
  3. 各専門分野
  4. ロボット支援手術について

ロボット支援手術について

手術支援ロボット da Vinci Xi surgical system を導入

 ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術(RALP)は既に保険適応が認められ、全国の施設で実施されるようになってきています。
奈良医大では、2016年2月に最新の手術支援ロボットであるda Vinci Xi surgical system (Intuitive Surgical, Inc.)を導入し、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術を開始しました。これまで以上に、低侵襲でかつ質の高い手術をみなさまに提供できるよう努めていきたいと考えております。

※ロボット支援手術の適応は前立腺癌および腎部分切除のみですが、今後、当院でも順次、適応を拡大していく予定です。

 


局所限局性前立腺癌に対するロボット支援手術

1.ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘手術とは

これまで前立腺癌に対する手術療法は、開腹手術もしくは腹腔鏡手術が主流でした。開腹手術では下腹部を約10cm切開し、前立腺と精嚢と呼ばれる部分を摘除し、尿道と膀胱を吻合しますが、しばしば出血量の多さが問題になっていました。一方、腹腔鏡手術では下腹部に5〜6か所の穴(直径5〜12mm)をあけ、細長い鉗子を用いて手術を行います。創が小さく、術後の痛みが少ないため、開腹手術に比べて短期間の入院ですみ、社会復帰も早いことがメリットとされています。また炭酸ガスを使用することで出血量を抑えることも可能とされています。しかしながら、一方で、鉗子の動きに制限が多く、その技術を習得するまでに時間がかかることが指摘されてきました。
今回、導入したロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘手術は、腹腔鏡下手術のメリットである、「少ない出血量」「小さな創で術後の痛みが少ない」「早期の退院と社会復帰」を可能としながら、「鉗子の動きの制限」や「手術技術の習得の難しさ」を克服した手術方法であると考えていただいたらよいと思います。

1.出血量が少ない

従来の開腹手術と比べて圧倒的に出血量が少なくて済みます。輸血の可能性もほとんどありません。

2. 小さな創で術後の痛みも少なく、回復が早い

創部は8-12 mm の小さな創が6カ所となり、術後の痛みも最小限です。そのため術後の回復も早く、早期の退院が可能となります。
(完全な無痛というわけではありません)

3. 機能温存(尿禁制や性機能)の成績が向上

従来の手術法に比較して、尿失禁からの回復が早く、性機能温存の向上が報告されています。

手術支援ロボット、ダヴィンチでは、7つの関節をもつ自由度の高い鉗子を操作し、また、拡大可能なカメラで3次元画像を見ながら手術を行うことが可能となります。
これにより、これまでの手術よりも繊細かつ、より確実な切除ができるとされております。

2.ロボット支援手術の注意点

手術支援ロボットは安全性の高い、低侵襲手術を可能にした「優れもの」ですが、「完璧なもの」ではありません。これには以下のような理由が挙げられます。

1. 触覚がない

ロボット支援手術では触覚がありません。これまでの前立腺手術においては、触覚や視覚を頼りに切除ラインの設定や組織を持つ力加減を調整してきました。しかし、ロボット支援手術では触覚がないため、視覚を頼りに切除ラインの設定や組織把持の力加減を調整しなければなりません。そのため、この特性を十分に理解し、十分なトレーニングを積んだ医師が慎重に対応する必要があります。

2. 頭低位と呼ばれる特別な体位で手術を行います

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘手術では頭低位(頭を25-30度下げた態勢)と呼ばれる特別な体位で手術を行います。そのため、未治療の脳動脈瘤や緑内障をお持ちの方は外来担当医にその旨お申し出いただきますようお願いいたします。
詳しくはご相談ください。